”なんちゃってバリアフリー”ならいらない。
こんにちは。
車椅子ライターのmaiです。
タイトルが少々過激かもしれませんが、”なんちゃってバリアフリー”を付けるくらいなら、ない方がマシだ!と思うことは多々あります。
設備が全くなければ、困っていることが周りに伝わりやすいです。しかし、中途半端なバリアフリー設備があると、周りの人々が困っている状況を認識することが難しくなってしまうんですよね。
バリアフリー設備は実際に使ってみないと、その利便性がわかりません。
健常者にとってはほんの少しのことでも、障害者にとっては大きな壁となってしまう場合があります。
バリアフリー設備が無駄にならないように、形だけでなくしっかりと使える設備を作って行くためには、健常者の理解だけでなく、障害当事者側も、既存の設備で不便であることを発信して行くことはとても大切だと思います。
”なんちゃってバリアフリー”とは
なんちゃってバリアフリーという正式名称があるわけではありませんが、ここではなんちゃってバリアフリーとは、一見するとバリアフリー設備が整っているように見えるけれど、実際にはバリアがある状態で、設備を使うことができなようなものを指しています。
入り口にスロープが完備されているのに中に入ると段差があって入れないお店や、スロープの角度が急すぎたり幅が狭すぎたりしてスロープがあるのに利用できないものなど設備自体に問題があるものから、多目的トイレの手すりが壊れていて使えなかったり、点字ブロックの上にマットを敷いていて使用できなかったりと、管理の問題で利用できないものもあります。
また、車椅子で昇降できる設備があるにもかかわらず、乗車拒否をするバスなど、心のバリアフリーの部分で使用できないようなケースもありますね。
当然、このようなケースでは、一見バリアフリー設備が整っているように見えますから、普段設備を利用しないで生活できる方には問題点が気付かれにくいです。
設備が整っているのに利用できないという切実な悩みなのに、もっと設備を整えろ!とワガママを言っていると捉えられる方も中にはいらっしゃいます・・・
しかし、利用する側の視点で見ると、どう頑張っても使用できないのは明白です。このような状況にならないためには、どうすれば良いのでしょうか?
当事者の生の声を届ける
なんちゃってバリアフリーになってしまうのは、その設備を作ったり管理したりしている側に、知識がないからという理由がほとんどだと思います。
それを防ぐために当事者としてできることは、既存の設備で何が使いにくいかということを、声に出すことだと思います。
声に出すというのは、インターネットやデモ、マスコミなどで大きな声を上げるというわけではありません。商業施設にあるお客様アンケートや、お電話による相談窓口など、直接設備の管理者や施工者に声を届けて行くのです。
現在は法律も改正され、このような設備が新たに作られることはほとんどないでしょう、しかし、管理の問題で利用できなくなってしまうケースは現在でもよくあります。
現在、2020東京オリンピック・パラリンピックに向けてバリアフリー化は急速に勧められていますが、2020年のそのあとも、それが継続して行われるかどうかは、やはり当事者の声にかかってくるのではないでしょうか?
設備の充実を求めるのは”ワガママ”ではない、当たり前の権利
バリアフリー化を進めるということは、決して障害者のワガママなどではありません。設備が整って初めて、健常者と同じスタートラインに立てるのです。
それは、障害当事者だけでなく周りにいる健常者の方々にもメリットがあります。設備が整うことで、階段の前で困っている車椅子の人を大人複数人で持ち上げる機会は断然減りますし、障害者のために人員を割かなくても済むようになります。
バリアフリー化を促進し、障害者が自立できる社会を創り上げて行くことは、障害当事者はもちろん、全ての人にとって何かの形で役に立つことでしょう。
バリアフリー化の促進は、公共施設だけでなく、家の中でも同じことです。障害当事者が一人でできることを増やすことで、家族の負担は大幅に減ります。
例えば、高齢で介護が必要になったご家族のために、住宅改修をするとします。その改修は、もしかしたら将来自分も利用することになるかもしれません。また、フラットな床など、誰にとっても住み心地の良い家になるかもしれません。
バリアフリーは、全ての人にとって使い勝手の良いものなのです。
心のバリアフリーも大切
設備を充実させれば全く手を貸さなくてもよくなる、そのようなことではありません。
必要な設備と、心のバリアフリーが揃って初めて誰もが住みやすい社会が実現すると思います。
また、歴史的な神社仏閣等では、バリアフリー設備を導入することは難しいです。
このような場所では、車椅子でも観光ができるようにボランティアスタッフがお手伝いをしてくれるなどで対応をしてくれるケースが多いです。
このように、設備が行き届かない場所は、やはり人間の力が必要になってきます。
障害当事者はもちろん、全ての人が住み心地の良い社会になるために、”なんちゃってバリアフリー”は卒業して、価値のあるバリアフリーが広まってゆくと良いですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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