車椅子の動線を考えた間取りの考察
車椅子で過ごしやすい家づくり
車椅子生活では、一般的な住宅の間取りでは不便を感じることが多いです。
例えば、玄関にある段差、開き戸の幅、洗面所の高さ、車椅子が旋回するスペース不足、居室が2階にしかない等・・・
細かくあげるとキリがないので割愛していますが、パッと思いつくだけでもこれだけあるわけです。
毎日生活する場所で、これだけの不便があると、やっぱり無意識のうちに小さなストレスが溜まっていくものだと思います。
車椅子本人だけでなく、同居する家族もそれはあると思います。
私の現在の家も、トイレに車椅子のまま入れないので廊下に車椅子を置いています。家族が通るのに邪魔です。
さらに廊下の曲がり角部分は幅が足りないので、壁が傷だらけ・・ぶつかる度に家を削っていることになります。
このようなチリツモなストレスを無くすためには、間取りから工夫が必要になると思います。
車椅子側の間取りの要望(筆者の場合)
まずは車椅子の視点から見た、間取りの希望です。
私が実際に要望として挙げた点は以下のような項目になります。
- 居室、水回り、リビング等の本人も使用するスペースは1階に
- 居室からお風呂までの動線はリビング等を通らない
- 車椅子のまま入れる台所の広さ
- 居室に在宅ワーク用のデスクスペース
今後色々と要望は増えていくと思いますが、どうしても譲れない部分がこちらです。
まず1の生活スペースが1階、こちらは当たり前ですが譲れません。
2階になるとホームエレベーター導入となり、費用が一気に上がります(笑
2も入浴介助を受けるにあたって重要な部分だと思っています。
立つことができない場合、脱衣所で脱ぎ着をするのは難しいのでベッド上、またはトイレで脱ぎ着をするという人が多いです。
そこからお風呂まで裸で行き来しているのは、家族であっても見られたくないですし、来客があったりしたら尚更です。
居室からスムーズに脱衣所・お風呂と動線が確保されていれば、お互いに気を使うことなく過ごせます。
3も大切です。
車椅子利用者が台所のメイン利用者でない場合は、完全に車椅子仕様にする必要はないですが、台所に入れることで、炊飯器のご飯をよそう、カップ麺にお湯を入れる程度のことはできるようになるので、自立にも繋がると思います。
4は全ての人に当てはまるものではありませんが、昨今の状況を考えても、特に障害者は在宅で働くことも視野に入れて置いたほうが良いような気もします。
将来を見据えて、机を置くスペースを確保して置くだけでも良いでしょう。車椅子の場合居室は広い方が旋回もしやすく使い勝手が良くなると思います。
家族側の間取りの要望(1階部分)
車椅子利用者の住む家の間取りは、車椅子側の要望ばかりでは成り立ちません。
筆者家の家族は、今回は車椅子で過ごせる家を条件に家づくりをしているため、理解のある方だと思います。そのため、私の要望は全て理解され受け入れられていると思います。
そこに、さらに家族の1階部分の要望を足していきます。
- 広くて開放感のあるリビング
- 扉に車椅子が当たって傷つかないような開口部の確保
- 広いキッチン・大きな収納
- 車椅子部屋から直接アクセスできるトイレ
1は多分家を建てるほとんどの人が希望する要望だと思います。
車椅子利用者の居室とリビングが同じ1階にあるため、限られたスペースで広さをどう分配するかが肝になるでしょう。
2は現在の家で実際に傷だらけになっているので、そうならないように幅にゆとりを持って設計する必要があります。
3もよくある要望ですが、これも居室との兼ね合いです。
4は意外でした。私自身はあまりそこに必要性を感じていなかったのですが、トイレに直接アクセスできるとかなり便利ではあります。
部屋側と家族が使う側、扉を2箇所設ける必要がありますが。
妥協する部分
上記の他にも、要望は数え切れないほどあります。
間取りだけでもこれだから家づくりは本当に長い道のりなんだなと、親の家にも関わらず感じるわけですが・・
両親が先に話を進めていたので、軽く要望を出して最初の間取りプランを作成していただいたと思うのですが、どうしても難しい部分も出てきます。
消えた、消えてしまうかもしれない要望の一部がこちらです。
- 車椅子居室に直接アクセスできるスロープ
- 玄関の段差ゼロ=スロープなしで家に入れる形
- 風水的によくないと言われる配置を避ける
今後変わっていく段階でどうなるか分かりませんが、限られたスペースの中で建てる家ですから、全ての要望が通るわけではありません。
スロープは、土地の大きさを考えると幅がギリギリになってしまうようです。玄関の段差は完全には0にはできません。というより、0にすると外の土なんかが入り込みやすくなります。
風水は、限られた土地に使いやすい配置で間取りを考えていく場合、どうしても完全に取り入れていくことは難しいでしょう。
ただ、風水的なものの場合は悪い場合の対策方法が必ずあるものだそうですので、それを踏まえさえすればあまり気にしなくて良いのかもしれません。気持ち的に気になる場合は使い勝手の方に犠牲が出ることも覚悟しなければならないでしょう。
様々な選択肢がある中で、ベストはないと思います。
よりベターな方を選んで、そうでない方は潔く諦めていく、そうやってより良い家が完成していくのかなとまだ数回しかしていない打ち合わせで感じています。
実際に家づくりを考えていきながら、車椅子でも住みやすい家について今後も考察していきたいと思います。
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